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金沢建築訪問 vol.5 12.8 |SAT| 11:02


今回の建築訪問は、お茶室を訪ねるツアー。
ガイドの吉江先生は、数寄屋建築や茶室の設計などがご専門です。
専門家と行く茶室巡り、とても楽しみですね!

はじめに、吉江先生から今日の見所などのお話がありました。
本日伺う二つの茶室は、いずれも有名な茶室の「写し」。
日本には和歌の「本歌取り」のように、
原作に対する尊敬の念を持ちながら引用する文化があり、
それは「オリジナル」に唯一の価値を見いだし「模造」「偽物」を貶める文化とは
一線を画しているそうです。

小雨の降る中での出発。
一軒目は、主計町の一葉さんです。
一葉は昔からのお茶屋さん(芸妓さんと遊ぶ方の)。
現在の当主のお祖父様が、元の茶屋のお隣に建っていた茶室「残月亭写」を
買ったそうです。




お茶室は築およそ150年。その名の通り京都にある表千家の「残月亭」の写しです。
江戸後期に、茶人・金谷三次郎が造ったと言われています。
元の残月亭を写しながらも、見事な欄間をはじめ、壁のしつらえ、木材の選び方などに
当主の好みが表れています。
現在はお茶屋さんのお座敷として使われています。

お菓子とお茶をいただきながら、当主や吉江先生にお話を伺いました。
「部屋に入ったら、まずは雰囲気を楽しみ、味わうことが大切」と吉江先生。
現在の住宅に「座敷」は少なくなっていますが、
座敷とは家の文化の「核」になる場所だというお話に、納得。



お茶室の反対側にある、こちらは築100年のバースペースを見せていただいているうちに
外は雪模様に。

小雪がちらつく中、次の訪問先「谷庄」さんに向かいました。
谷庄さんは全国でも有数のお道具屋さんで、
純和風と大正モダニズムの建築がつながった建物は、登録有形文化財となっています。

お茶室は「寒雲亭写」。本歌は京都、裏千家のお茶室で、宗旦好みと伝えられています。
さすが古美術商、応接間から座敷、お庭にいたるまでも、建材、手入れ、しつらえが素晴らしく
代々の当主の心遣いが伝わります。

茶室も同様、小松城のふすまや貴重な木材など、選び抜かれた材料で造られ、
手入れも行き届いています。
庭の石、苔の様子も美しく、燈籠にはこもが被せられて冬支度となっていました。

床と書院を分散させたつくり、框の下の蹴込板、欄間の櫛形の意匠など、
本歌を写しながら、左右の配置や北陸ならではの待ち合いの深い庇に特色があります。



なにしろ普段はなかなか入れないとあって、ここかしこの素晴らしいしつらえや意匠に皆さん釘づけでした。

今回二つのお茶室を拝見して気付いたのは、
茶室というのは造った人々、関わってきた人々の心遣いを反映し、伝えるものだということ。
本歌のお茶室の由来や意味を受け継ぎながら
新たに自然の材料を選び抜いた当主の目利き、現場の棟梁の工夫や好み、
また代々それを受け継いできた人の手入れが
空間全体の雰囲気を作り上げ、そこにしかない空間を創出していました。


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オープンスタジオデーvol.4 13:26
 2012年11月10日・11日・17日・18日の二週に分けて計4日間で開催されたオープンスタジオデーに参加してきました。

今回の参加作家は一週目小立野・扇町エリアから、井上大輔、指江昌克、中田雄一、藤田有紀(金沢美大)、村住知也、山室淳平
二週目駅西・大野・問屋町エリアから岩本清商店、問屋まちスタジオ(土方大、四井雄大、積木裕花、堀至以)、長原めぐみ、西川美穂、松本染物店(朝本暢史)、山本基
以上15名でした。

時間の関係上、中田雄一さん・山室淳平さんのアトリエに回れなかったことが残念です。


簡単にではありますがそれぞれ紹介していきたいと思います。

まずは藤田有紀さん
金沢美大の工芸実習棟二階、鍛金工作室と彫金工作室の二箇所で制作されていました。
美大には初めて入ったのですが、一つの部屋を区切って複数人で作業する様子は、学生という立場から何か近いものを感じました。
藤田さんには制作の過程や、作品の行程、今後の進路等さまざまなお話を聞くことが出来ました。
小さいもので二週間程度、大きい作品になると一か月程度かかるそうです。
いかに効率良く作業を進めるかを頭において取り掛かるとお話してくださいました。



次に指江昌克さん。
ご自宅の一階をアトリエとして使用していらっしゃいます。
空間も、道具も綺麗に整った、素敵なアトリエでした。
指江さんの作品は建築を学ぶ者として、近代化に伴う、スクラップアンドビルドへの危惧を感じさせられます。建築家からの支持が高いそうです。
現在企画中の作品(模型?)も見せていただくことが出来ました。




次に村住知也さん。
とても気さくな方で、訪れた方に作品について「なんか気持ち悪い」と言われたらしく、そう言われたことが嬉しかったと語ってくれました。
また、自らの作品を、砂糖と塩を足してもゼロにはならないそんな感じや、だしのないお味噌汁?と例えていらっしゃいました。
確かに、パッと見ても一概には口で表すことのできない世界観を、作品を含めアトリエ全体が醸し出しているように感じました。



そして井上大輔さん。
以前のレポートにもありましたが、井上さんのアトリエは一軒家を改修したもので、代々美大生が住んでいる物件だそうです。
とても雰囲気のあるおしゃれなアトリエで、後でお話を聞くまで、かつて町家だったとは気づかないほどでした。
リノベーションの可能性に目が向けられているこの時代、「今風」を実現した、とても素敵なアトリエだと思いました。
かつての土間で、作品を解説していただき貴重なお話をしていただいたうえに、手に特殊メイクまでしていただきました。




一週目は以上4名のアトリエにお邪魔しました。

二週目はまず松本染物店(朝本暢史さん)
かつて染物店であった町家を、所有者の住み替えをきっかけに改修し、共同アトリエとして利用されています。
二階の染物店の名残りも拝見させていただくことができました。
広くて立派な町家で、貴重な町家を有効に活用されているなぁと思いました。
お伺いしたときは、披露宴で集まった水引を再利用してほしいという依頼をうけて、照明を制作されていました。




次に、問屋まちスタジオにて𡈽方大さん、四井雄大さん、積木裕花さん、堀至以さん。
問屋まちスタジオは以前印刷工場として使用していたものを、先鋭的な現代美術作家の制作、活動、発表の場として、金沢美大卒業生を中心に作家の制作アトリエとして提供しています。
十分なスペースがあり、開放感に包まれている、貴重な共同アトリエであると思いました。
それぞれの作品、問屋町スタジオとしての活動などをお話していただきました。





次に、山本基さん。
大野の倉庫を改装したアトリエでとてもおしゃれでした。
次の個展に向けた制作を一足早くみることができました。
また、塩のインスタレーションの体験をさせていただきました。
サラサラした塩で模様を描くのは想像以上に難しく、基さんの作品の繊細さを、改めて痛感しました。



次に長原めぐみさん、西川美穂さん。
こちらは野町の一軒家にて3人でシェアされています。
まずは西川さんの作品・作業場を見せて頂きました。最近では、ステンレスを用いた作品もお作りになっているそうです。
お子様が出来てから、制作を行う時間が限られ、それが逆に集中して取り組むことができると語ってくれました。
二階に上がって、長原さんの作品・作業スペース。女の子なら誰もが憧れるような空間でした。
主に週末にこちらのアトリエに訪れ制作されているそうです。




最後に桐工芸の岩本清商店さん。
奥の作業場も見せていただいたのですが、通り庭や土間、今ではなかなか目にすることの出来ない、昔ならではの立派な町家に感動しました。
機械も歴史を感じさせるもので、伝統文化に触れられたような気がします。





計4日間開催されたオープンスタジオ。
私は3日間で13名の作家のアトリエをまわりましたが、それぞれ貴重なお話を聞くことができました。

オープンスタジオに初めて参加しましたが、自ら足を運ぶことや、ドアが開くまでのドキドキ感は、とても楽しいものでした。
生憎の雨天で地図をあてに探すのはなかなか大変なものですが、それが逆にワクワクを掻き立てます。
生まれる作品に納得するような、個性の表れたアトリエで、作品とアトリエがリンクしているように感じました。

また、アトリエを見せていただいて、建築的に町家の改修など、とても興味深いものばかりで、充実した時間をおくることができました。

この場をお借りして、快く出迎えてくださった参加作家のみなさんに、お礼を申し上げます。ありがとうございました。


次回のクリツーは2012年12月8日、建築訪問VOL5、[茶道の文化が今に生きる金沢で、秘めた魅力を放つお茶室を訪ねるツアー]です。
福井工業大学工学部准教授、吉江勝郎氏をガイドにお迎えし、普段公開されていない主計町のお茶室「残月亭写」と十間町のお茶室「寒雲亭写」を訪ねます。
定員10名、要申込みとなっております。詳しくはサイトもしくはフライヤーをご覧ください。









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クリツーvol.11 16:55
 

2012年、825(土)、26()2日にわたって開催された、クリツーvol.11に参加してきました。

今回のクリツーは、金沢21世紀美術館の企画展「工芸未来派」展の連動企画である、「工芸未来派サテライト」参加の11ギャラリーを全て巡り尽くすという企画でした。

また、兵庫陶芸美術館のマルテル坂本牧子さんに同行していただき、それぞれの作品や工芸についての解説をして頂きました。

それぞれの会場で行われた、マルテルさんとギャラリーオーナーや作家の方との対話は、参加者の作品に対する理解をとても深いものばかりでした!

ここでは、その様子をレポートしていきたいと思います。


1
日目は快晴、金沢駅に集合してバスに乗り、それぞれのギャラリーに向いました。



1
会場目は、ルンパルンパの「五宝恵理展 あなたとわたし〜魂の宿る場所〜」です。






上) ロウを素材にしたオブジェ。白い壁の空間で、とても目を引きます。

下) ギャラリーオーナーの絹川さん(左)と五宝恵理さん(右)作品への想いをわかりやすくお話して頂きました。

 

作品はロウを素材とした立体作品や、ドローイングが中心でした。


インドや東南アジアの宗教のような鮮やかな色づかいは目を引き、表現された作品はどこかバランスの取れた神話や宗教性のようなものを感じさせます。参加者からは「フリーダ・カーロに似ている」という意見がありました。

作家の五宝さんは、自らの作品について、自らの作品に色んな想いを込めて制作しており、それを古代の占術の道具となぞらえて、以下のようなお話をして下さいました。


「古代の占術の道具は、その時代の人にとっては、現代の実用性を持った工芸作品と変わりなく、生活に必要不可欠なものであったはず。そのような理由で、私の作品は工芸と言える。―また、ロウという素材はその性質から制作するうえで一番自分の表現したいものを表現できる。」

五宝さんの素材に対する考えについてマルテルさんは、素材と作家の表現したいものへの想いが自然に繋がっており、それはとても重要であるということをお話して頂きました。


2
会場目は、ギャラリー点の「梶尾聡美・横山翔平個展」です。



上) 梶尾聡美さんの作品の前で対談する、ギャラリーオーナーの金田さん()とマルテルさん()

下) 横山翔平さんの作品。触れると割れて粉々になりそうなほど、繊細な作品でした。

ギャラリー点は1階と2階の2フロアになっており、1階には梶尾さんの作品、階段と2階には横山さんの作品が展示してありました。また、その間には共作もありました。

梶尾さんの作品は、染色した生地の上に、友禅などの蝋纈染めに用いられるロウのように、樹脂で線を描いた作品で、大小様々なモチーフ(例えばアメーバのような有機的なものから、建物のような直線を用いたものまで)が心地よく溶け合って表現されていました。

横山さんの作品は、吹きガラスの作品でした。とても薄いガラスで、ショボン玉のように今にもはじけて無くなってしまいそうな繊細を感じさせてくれました。

マルテルさんはそれぞれの作品について、

「それぞれの作品ともに素材がとても特徴的で、その素材の魅力というのは写真などでは到底わからないようなものなので、是非よく見て欲しい。―特に(横山さんの用いる)ガラスという素材は、熱い内に息を吹き込んでつくった形がそのまま作品に出るということで、その素材の特徴と造形というものが密接に関わってくる。」

そう言われて作品を見てみることで、素材の持つ魅力に近づけたような気がしました。


3会場目は、Kapoの「山内宗嗣・伊藤幸久展」です。




上) 山内宗嗣さんの作品。元々あった仏像の頭を取って、木の新芽を付けている。

下) 伊藤幸久さんの陶を素材にした作品。後方では伊藤さんとマルテルさんのトーク。

Kapoも先ほどのギャラリー点の会場と同じく、1階と2階の2フロアになっており、1階には山内さんの作品、階段と2階には伊藤さんの作品が展示してありました。

山内さんの作品は陶器の作品と、仏像の作品がありました。仏像の作品は、売られている仏像の頭を大胆にも切ってしまい、そこに木の新芽を取り付けるというという手法で作られていました。新芽が人の顔に見えるということから生まれた発想らしいのですが、我々日本人が古くから持つ自然信仰の本質を感じさせるような面白い作品でした。

伊藤さんの作品は、陶を素材として人体などを表現した作品で、自身が作るロリータをモチーフにした物語の世界を表現していました。リアリティーのある造形と、適度に主張を抑えた白い土を用いた表現は、我々を物語へとすんなりと引き込んでくれました。

 

この会場では、マルテルさんと作家の伊藤さんの対談が行われました。

マルテルさんは、

「土という素材を用いての表現手法は多くあるはずなのに、作家の人で土という素材を応用して用いている人は少ない。伊藤さんのような表現というのはまだまだ可能性がある。」
ということをお話になりました。

それに対して、伊藤さんは、

「土の造形にかかる手間や時間というのが自分には合っていて、重みがあり壊れやすいという特徴は自分の内面とも共通した特徴がある。」

ということを仰っていました。

素材と人の関係というのは自然と作品に表れるような気がしますが、この会場の2人の作家の作品にはどこか温かい関係性を感じました。

4会場目はガレリアポンテの「竹村友里・小田橋昌代・安藤絵美展」です。

写真) コレクター・作家・ギャラリーオーナーのトークの様子。左からガレリアポンテ・オーナーの本山さん、コレクターの宮田さん、作家の竹村友里さん。

この会場では、コレクター・作家・ギャラリーオーナーという違った立場にある3人によるトークセッションが行われました。コレクターの宮田さん、作家の竹村友里さん、ガレリアポンテ・オーナーの本山さんの3人によるもので、面白い角度から作品についてのお話が伺えました。

コレクターである宮田さんのお話は、どのような経緯で作品を買うようになったか、作品を買うときはどのようなところを見るか、1人の作家の作品を買って、いかにしてギャラリーを廻るか、作家が成長していくのを見守る楽しさ、など多岐に渡り、大変興味深かったです。私も参加者の一人として、作品を買ってみたい!!という感想を抱きました。



5会場目は問屋町スタジオの「空白の思索」展です。




上) マルテルさんと対談をする作家の久恵 真由美さん

下) 菊谷 達史さんと共に1つの部屋を作品にしている四井 雄大さん。菊谷さんの絵画作品と四井さんの陶芸作品が部屋のいたるところに展示されています。

この会場では、「空白の思索」というテーマが設定され、8人の作家の作品が展示されていました。

「空白の思索」では、美術の領域で活動する4人の作家各々が、工芸の領域で活動する作家4人を選出し、それぞれを同じ空間で展示するという方法で展示を行なっていました。そのような展示を通して、美術と工芸という枠組みを問い直すことができるのではないかという問題提起があり、とても見ごたえのある展示でした。

展覧会を一通り見て、現代作家にとっては美術と工芸という枠組みはあまり意識されておらず、それぞれの作家の感覚で美術と工芸の両方に影響を受けており、その結果制作された作品が展示されていたという印象がありました。

クリツーvol.112日目に突入です。

2日目はcollabonに集合し、中心街のギャラリーを周りました。

写真は、徒歩での移動が多いので頑張りましょう!!と歩き出している様子です。


 

1日目に続く6会場目は、collabonの「スソアキコ作品展」です。

 




) collabonの外観。ギャラリーあり、雑貨コーナーあり、カフェスペースありという充実した空間です。

) フランス人のマルテルさんの旦那さん。特別に被せてもらいました。フランス人らしいエスプリのきいた感想を聞かせてくれました。

 
collabon
の展示スペースには、天井から雪の結晶をモチーフにしてつくったレースが下がっており、その下に帽子が展示してありました。作家のスソアキコさんは骨の構造などに興味があるということで、帽子の造形は自由でありながらも自然と人の身体に馴染むような印象がありました。

フランス人のマルテルさんの旦那さんも今回のツアーには参加していただき、特別に許可をして頂き、帽子を被って頂きました。

「被るとチクチクしている。おそらくこれは実用性のある帽子というより、立体物としての魅力の方があるんだ。」

という感想を頂きました。それにしても、かなり似合っていますね。


7
会場目は金沢アートグミの「Porcelain Fever 現代作家と今の九谷」です。


写真) 流線型を描いた植物がモチーフとなっている高橋治希さんの作品。水面を漂うような展示のされ方で、どこか涼しげな印象を受けました。

 

この会場では、「Porcelain Fever:現代作家と今の九谷」と題された展示が行われていました。

展示されていた作品の特徴は、技法や絵付けにおいて九谷焼の伝統を継承しつつも、その背後にポップカルチャーなどの現代的な感覚を感じさせる若手作家の作品で、新たな九谷焼の解釈を感じさせるものでした。

ここでは、金沢美術工芸大学の大学院専任教授の森仁史先生に、「九谷焼って?」というテーマでお話頂きました。


九谷焼が19世紀の終わり頃にヨーロッパにおいて、新たな価値で受け入れられ、それに伴って九谷焼はどのように変わったか、そして今日もどのように変わり続けるかという趣旨のお話でした。

レクチャーの後には質疑応答があり、九谷焼がポップカルチャーなどの現代美術に近づく一方で、忘れられつつある茶道具などの伝統工芸としての工芸の価値に関する問題提起が参加者から寄せられ、興味深い議論になりました。時間に限りがあって出来なかったのですが、このような議論について、若い作家の方々の意見も聞けたら面白かったかもしれません。

 

8会場目はas bakuの「glass deco 渡部匡人 ガラス展」です。





上) それぞれの色の棒状にあったガラスを窯で繋げることでつくられた器

下) 大学で鋳金をしていた経験を活かして、鋳型にガラスを入れることで造形し、金箔を上に貼った作品。

as bakuは近江町市場から歩いてすぐのところにあるギャラリーでした。

作家の渡部さんもギャラリーにおられたので、技法や制作するにあたっての想いということを伺いました。

渡部さんはガラスという素材を通して、その素材をどのように活かせるかということにとても興味があるということでした。例えば、建築を装飾するステンドグラスとしてのガラスが用いられることで、光によって変わるガラスの美しい色が表現することができ、それはひとつの理想的なかたちであると仰っていました。

おそらく、独立した作品としての魅力よりも、他の作品の一部として作品が機能することで生まれる作品の魅力に惹かれるということでしょう。技法に関しても同様に、技法を極めるということよりも、その目的に合わせて一番良い技法を用いるという方法を取るということを仰っていました。

様々な作家がいる中でも、素材に対する考え、技法に関する考え、作品がどのように展示され使われるのが理想かという考え、そのそれぞれが違うことが感じられ、面白くお話を伺いました。


9会場目はギャラリーアルトラの「加護園・津坂陽介 2人展」と「岡知代 漆展」です。



)作家の岡知代さんと作品。限られた時間ですが、作品についてお話頂きました。

ギャラリーアルトラは2フロアに分かれており、下のフロアではガラス作家の加護園さんと津坂陽介さんの2人展が行われ、上のフロアでは岡知代さんの漆展が行われていました。 

津坂さんの作品は、レースのような細かい線による文様の入った吹きガラスによる作品で、高い技術と洗練した美的感覚を感じさせるものでした。

加護園さんの作品はガラスの作品でガラスで金箔をサンドして封じ込めており、金箔で表現された植物文様は温かさを感じさせる優しいものでした。

加護さんには実際にギャラリーでお話を伺うことが出来ました。

加護さんは、ガラスという素材について、

「ガラスは母親のようなもので、私はその関係というものを大切にして制作している」

ということを仰っていました。また、

「自ら制作をする上で、素材と自分との関係を意識するようになり、他の作家の作品を見てもその関係というのがわかるようになってきた。」

ということも仰っており、加護さんの抱く素材への想いが強く感じられました。

 

上のフロアでは、漆の作品を展示する岡知代にお話を伺うことが出来ました。

岡さんの作品はパネルのように壁にかけられており、よく見ると黒光りする漆の中に文様が浮かび上がってくるという仕組みになっています。

作品は一見すると、明るい色で文様が描かれている場所と、黒い漆が塗ってある部分に分かれているように見えるのですが、実際は全て同じ要領で文様が広がっているそうです。

つまり、照明が当たっている部分のみ、文様が浮き出しており、照明が当たらない部分は漆の暗い色が文様を被っているということになります。

暗い色で、半透明の漆という素材の特徴をうまく活かした作品で、素材の持つ可能性と、岡さんの見せ方の面白さを感じました。

10会場目はギャラリートネリコの「デザートと器お境界線 Part 色鮮やかな-」です。

 

 

11会場目はCafé & Gallery museeの 薄井歩 陶展「ぱらいそ」です。

 

薄井さんの作品は、とても小さいです。しかし、その中には、化石や海岸に流された貝殻のように多くの時代が重なって出来た進化の歴史や物語があるように感じました。

陶を素材にしており、とても手の込んだ作品である一方で、全く人工的な印象を与えずに、むしろ自然物のような印象を与えるのは、自然をよく観察しそれを作品に落とし込むというという手法を取る作者ゆえのものでしょう。

 

今回のクリツーは2日に渡り、マルテルさんのとても有意義な解説とともに、作家さんやギャラリーの方々と触れ合える良い機会となりました。

おそらく、参加者の方々にとって作品がより身近に感じられる機会になったと思います。

参加していただいた作家の方、ギャラリーの方、マルテルさん、そして参加者の皆様、ありがとうございました。

 (大久保洸哉)

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金沢アトリエ訪問vol.5 11:30
 

8月27日(土)14時。
面白い建物にくわしい建築家と一緒に、不思議な間取りのアトリエを巡るという
今回の「金沢アトリエ訪問vol.5」。
集合場所は石引1丁目交差点にある下馬地蔵前
あたりという、
なかなかゆるいスタートでした。

いつも通りスタッフ含め、参加者皆の自己紹介からツアーは開始しました。
今回の参加者は半分が海外出身。英語の先生をしている方、作家やアートファン等さまざまです。


まずは歩いて山室淳平さんのアトリエへ。
山室さんは2006年に金沢美大を卒業され、現在は平面作品を中心に
制作、県内外で発表をされています。



建物は小立野の細い路地の階段を下る途中、崖に沿って建てられた2階建ての物件です。
もともとは共同事務所で居住用には作っていなかったそうですが
昭和45年から賃貸を始め、以来代々美大生が代々住んでいるそう。
居住用に作られなかったためか、玄関を入ると階段の上り下りがあったり
2階のトイレが1階とつながっていたり、なかなか変わった間取りで一同驚きです。
大家さんからお借りした貴重な設計図面資料を見ながら建物を楽しみました。



山室さんの作品も建物に負けず劣らずユニークです。
自然と不自然を組み合わせ「奇妙さ」を感じさせる絵画作品を制作されていて、
その色や形、モチーフのレイヤー(重なり)といったバランスが絶妙です。
「山は日本人らしいモチーフだと思うけど意識している?」「いつも何時に絵を描いている?」
「家賃は?」「最近の作品は各要素の重みが増してるようにみえるけど意識の変化があった?」等参加者からの質問が飛び交いました。


次に向かうは井上大輔さんのアトリエです。
井上さんは2009年に金沢美大の博士課程を卒業され、現在インスタレーション作品を中心に制作、県内外で発表をされています。



井上さんのアトリエは一軒家を改修したもので、これも代々美大生が住んでいる物件です。
石引商店街にあった醤油店の店舗を移築したそうで、その名残として奥の間に大きな釜があったり、間口が狭く奥行きが深い「うなぎの寝床」構造で、かつ採光のための坪庭(現在はお風呂!)が残っていたり、町家ならではの風情が残っています。一見町家のように見えないほど、うまく現代的にリノベーションされており、2階の居住空間や奥の間のゲストルームは開放的で(暑さ・寒さを考えなければ)とても過ごしやすそうです。



井上さんの作品はかつて土間だった空間に何点か展示されていました。
1つの世界観を作り上げるのではなく、物と空間、物と物の関係を現象として見せる作品で、
例えばシャボン玉の軌跡を撮影した作品や扇風機で紙風船を回し続ける作品、水がパズルのように形づくられたかと思うとまた水にもどりそれがポンプで循環する作品など、
作品を媒介に関係が変化しつづけ、何かの実験のようでもあります。作品の仕組み等を教えてもらいながら、アトリエにある様々な不思議なものに皆興味深々でした。



今回訪問したアトリエは築30年は経過した、それぞれにかなり変わった物件でしたが、一方は強度に不安の残る鉄筋、一方は改修された町家と、古い町並みの残る金沢ならではのバリエーションだったのではないでしょうか。作品と建築の関係も「この物件にこの作家あり!」とまではいかなくとも、どこかしっくりくるように思った、とはガイドの山田さんからのお言葉です。

山室さんや井上さんのアトリエのような物件をうまく使いこなすのはやっぱりアーティストでないとなかなか難しいように思います。まだまだ金沢に眠るユニークなアトリエは沢山あるので、次回以降のクリツーアトリエ訪問をお楽しみに!


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金沢アトリエ訪問vol.4/Kanazawa Atelier Visit vol.4 11:18
 Higashiyama area

 Having lived in Kanazawa for five years, I thought I had seen everything from Kenrokuen to the smallest art galleries.  I prided myself on being somewhat of an expert on Kanazawa.

 However, I was proved very wrong! One day last September, I found a flyer for a tour of artists’ studios in Kanazawa. Since then I have been on numerous tours of Kanazawa, and have been taken to many places I would have never been able to go if it weren’t for the experts at Kanazawa Creative Tourism. Always delightfully surprising and wonderfully informative, through these tours, Kanazawa’s secret creative places have been revealed to me and my fellow tour participants.

 This time was no different. At the luxurious Kinjoro restaurant, I had the privilege of listening to Tea Ceremony-ware expert Mr Tanimura’s fascinating lecture on the history of tea ceremony.  We learned about the history of tea ceremony in Kanazawa, the role of tea ceremony in Japanese history and the importance of tea ceremony in supporting crafts people of all disciplines. One interesting aspect of his talk was that he compared tea ceremony to golf, at least in the past; tea ceremony provided a chance for people to relax whilst networking and discuss important topics of business and politics. 

Motoyasu-sensei talks about Kazue-machi

 Next, the head of the craft department at the Ishikawa History Museum Motoyasu-sensei and Kanazawa Bidai’s Sakamoto sensei gave talks about the development of Kanazawa city. They explained how the castle city has developed and how geisha districts such as those at Kazue-machi were formed, explaining why they are located where they are. These talks were highly informative and provided the perfect background to the walking tour that followed.
 We left the beautiful surroundings of the restaurant and started our tour of Kazue-machi and its surrounding areas.  As soon as we stepped outside the building Motoyasu –sensei pointed out some interesting features that I had never noticed, including a section of the moat of Kanazawa Castle that still remains today. Kazuemachi is one of Kanazawa’s most charming areas. Time seems to have stood still in those narrow streets, closely packed wooden houses and winding passages.

At Genpo-in

 Our first stop was源法院. Nagashi Somen was flowing down bamboo chutes that protruded out of the temple windows. Attempting to catch the slippery, fast moving noodles as they slid past was great fun but much more difficult than it seemed. Inside was an exhibition of Kaga Yuzen dyed silk which transformed the dark interior of temple into a riot of bright colors and lively designs.

 For the next hour or so, we visited numerous machika (tradition wooden townhouses) and teahouses, each of which housed an exhibition of contemporary craft. Motoyasu sensei also gave us some fascinating historical insights into Kanazawa`s past as we wandered through the narrow alleyways and streets.

At Baiso

 The contemporary craft was a great contrast to the traditional houses. Pieces were displayed on the existing furniture such as Asakura’s Kutaniyaki pieces at Chikura which were placed on a bold red lacquered table, or even placed thoughtfully on the tatami such as Erika Fujiwara’s ceramic pieces at Baiso. This style of display has much more atmosphere than a white cube galley, and we also have a chance to appreciate the distinctive architecture of the machiya.
 In many of the places the artists were present and we could hear the artist discuss the work on display with them and discuss it with them. From Ms. Tokunaga at Motsu Nabe Ryu, we could see her beautiful tableware laid out and heard about the history of ceramics in her Area of Toyama city (I was startled hear thatthere are bears in Toyama)

A day market

 One of the highlights for me personally was the modern day market held outside a shirine, recreated on the historical site of a market. All the men and boys got distracted by the target shooting game. It was almost impossible to tear them away.
 The tour ended with a refreshing drink inside the Owari-cho Cultural Hall, where we could sit back and relax whilst enjoying Hiroto Morikawa’s stunning projected images of Kanazawa.  Yet another thought provoking day spent rediscovering Kanazawa.


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金沢アートコンシェルジュ番外編 スイス:ベルン応用科学大学 金沢建築ツアー 12:15
午後一時 ベルン応用科学大学の教授と建築関係の仕事をしている卒業生、コーディネーター等計13名が金沢アートグミに到着。まずは自由にギャラリー内を見学しました。
現在の展示は、高橋治希個展「in the vine」。九谷焼の磁器で作られた白く透き通る植物が、
隙間から差し込む「光」そのもののようにギャラリー全体に広がります。

本日のガイドは、金沢美術工芸大学 環境デザインの坂本英之先生と、吉村寿博建築設計事務所の吉村寿博さん。スイスからいらした皆さんの母語はドイツ語。現地コーディネーターの余村さんと坂本先生が、ドイツ語で北國銀行武蔵ヶ辻支店の説明をしました。
これまでクリツーのツアーは英語通訳のみでしたが、ドイツ語も(坂本先生が)対応できますね!

次の目的地、中村邸までは少し遠回りして、袋町・尾張町・主計街の町家建築などを見学しつつ、徒歩で移動しました。
やはりみなさん建築関係のお仕事をされているだけあって、町家の写真を撮影したり、坂本先生に建物の年代を質問したりしながら進みます。

中村卓夫さんのお宅では、作家のプライベートな邸宅を訪問するという、普通のツアーにはなかなか無い経験が皆の興味をかき立て、様々な質問や感想が飛び交いました。
敷地中央の座敷棟と庭、そしてギャラリーを兼ねた住宅棟を見学しました。
建物と庭、作品が見事に調和した中村邸は、まるで美術館のようで、ふらっと団体を離れて敷地内を自由に散策するメンバーも。中村卓夫さんから作品のお話も伺い、とても満足して中村邸を後にしました。

中村邸からは、市内周遊バスの「金沢ふらっとバス」に乗って移動。このバスはどこで降りても100円。細い路地を縫うようなルートも、他のバスには無い楽しみです。金沢21世紀美術館前で下車し、休憩を挟みながら10分ほど歩いて鈴木大拙館建設予定地に到着しました。

鈴木大拙館は、ニューヨーク近代美術館や豊田市美術館も手がけた谷口吉生設計。彼の名前は世界的に知られているだけあって、ツアー終盤で疲れ気味だったメンバーの目が輝きました。完成予想図を手に、説明を聞きながら内部も見学。

断熱材がむきだしの壁や工事用の照明など「現在進行中」の現場という印象が強いものの、
構造体はほぼ出来上がっていて、むしろ空想がかきたてられます。緑、水、石垣を印象的に用いた、モダンでありながら日本的な奥ゆかしさを感じさせる建築になるのではないかと感じました。

工事中の現場の撮影はNG。そのため残念ながら写真はご紹介できません。
完成が待たれますね!
最後に、金沢21世紀美術館のタレルの部屋で体を休めつつ、金沢21世紀美術館建設の際プロジェクトリーダーを務められた吉村さんから、美術館についての簡単なレクチャーがありました。

吉村さんは金沢21世紀美術館を設計したSANAAの直下で現場を統率し、意見を双方に伝達する重要なポジションを担っておられたため、美術館のことなら何でも知っています。ここでも、壁の素材や表面の塗装についての専門家らしい質問がありました。

最後は、坂本先生と吉村さんにお礼を言って解散。沢山歩いた今回のツアー、もう一刻も早く休みたい?と思いきや、美術館の見学やお土産を買い求めに散っていったメンバーは、まだまだ元気でした。

金沢アートコンシェルジュの、ガイド付き番外編企画だった今回のツアー、海外観光や建築専門家の視点から現地のコーディネーターとツアー内容やコースの検討を重ねました。
その結果、金沢で日本の建築の「現在」を体感する、ちょっと欲張り(?)で盛りだくさんな金沢建築ツアーが実現しました。

芸術都市金沢の楽しみ方を、また一つ、発掘できたのではないでしょうか。
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金沢アトリエ訪問vol.3 10:46
 2011年4月23日(土)に開催された
「金沢アトリエ訪問vol.3」に行ってきました。


今回の訪問のテーマは「オルタナティブ・スペース」。
金沢21世美術館学芸員の高橋律子さんをガイド役に、
青草町の金沢アートグミと問屋町の問屋まちスタジオの2つを巡ります。

そもそもオルタナティブ・スペースって何でしょうか?
チラシには“アートが生まれる場”としか記載されていませんが、
ツアー中の高橋律子さんの発言を一部記すと、
 ・作家が新しい作品に挑戦できる実験室 
 ・美術でも図工でもない、「アート」のもつ可能性を展開できる場所
 ・関わっている人たちが一緒に考えて実行できる柔軟性がある場所
具体的にはどういう場所なのか、については
このレポートを最後まで読んでから見えてくるはず!


さて、まずは金沢アートグミからのスタートでした。
北國銀行武蔵ヶ辻支店3階にあるこの場所は、昭和初期に建てられ
かつて銀行の社交場・会議室・倉庫等として使われていた空間です。
2年前よりNPO法人金沢アートグミが企画・運営管理を委託され、
今、2周年記念として金沢在住の作家、高橋治希の個展「in the vine」を行っています。

この展覧会の作品は九谷焼でつくられた透光性の蔓植物によるインスタレーションで、金沢アートグミの空間が向こう側の空間へとつながっているように、
建物の輪郭線を光で切り開いています。


作家の高橋治希さんからの話しでは、作品づくりの根底にある身体性についての考えや、
天井の高い今展の空間に合わせた作品イメージ・コンセプト等ついて聞くことができました。

学芸員の高橋律子さんからは、絵を一切描かず人工の光を用い「空間」でみせる実験的な作品であり、
日本人らしい自然への畏敬が感じられるこの作品は、“日本的インスタレーション”を考えるいいサンプルではないか、等というお話し。

オルタナティブ・スペースとしての金沢アートグミについても言及がありました。
「他のオルタナティブ・スペースをみていると場はあれどお金がなく、ともすれば
思いや活動が失速していきがち。様々な職種・経験・思考をもつ金沢のアート好きが
結集して運営しており、潤沢とは言えないながらも資金も場所もメンバーの気持ちも持続的な、比較的恵まれた場。」

各自、作家おすすめの鑑賞ポイントで作品をみたり、気になるところを
直接質問したりしているともう時間。バスに乗って一同次は問屋(といや)まちスタジオへ。


移動中のバス内では、問屋まちスタジオに入居・制作している
𡈽方さんから
バスガイドとして問屋まちスタジオのあらましやご自身のPR等、お話しがありました。

このスタジオは、アートを活用した新しい街づくりの取り組みをスタートした
問屋町の中心的な発信の拠点として、2011 年3 月に旧印刷工場を活用してオープンしました。
現代美術作家(金沢美大のホープたち)の手で作られるこの場所は、
制作・活動・発表の場として、
様々な分野の交流拠点として、
自由で実験的な試みを行っていくということで、

現在1発目の企画「TRAILER CAMP」が開催されています。


本展覧会は3月からこのスタジオで制作を行ってきた作家7名(本多裕紀、菊谷達史、
馬醫大輔、𡈽方大、中瀬康志、武田雄介、阿部乳坊)によるもの。


形のアウトラインを2次元で表現した作品、「川を叩きたい」という思いつきを形にした
プロジェクト作品、楠を細く長く彫り絶妙に自立させる彫刻作品、自宅と問屋町の間にある
様々なものを出来るだけなにもせず設置する作品、グラス・土山・金魚が泳ぐ球体の
あやうい均衡が面白い作品・・・などなど各作家のアーティストトークを交えながら、
奥に広いスタジオ内に並ぶ個性豊かな作品を鑑賞します。


オルタナティブ・スペースとしての問屋まちスタジオについて、
様々な立場から意見がありました。
 「元々は金沢美術工芸大学と問屋町の協定によるまちおこしからのスタートだが、
 若い作家が中心となってレジデンス(滞在制作)を行ってどんどんいい作品を
 作っていけるような場へ。まずは環境整備。」
 「問屋町ででる廃材は、作家にとってみれば宝の山。材料面での連携は勿論、
 企業対作家の関わりの中でできることを探りたい。」
 「金美卒業後“東京にいく、京都にいく、実家に戻る”のほぼ3択しかなかった
 新しいモデルとして、アートも夢も叶える環境へと育んでいきたい。」
 「21世紀美術館がけん引する金沢=アートの雰囲気を、市内に点在する
 ギャラリーやスペースと一緒に補完し合い、住んでいて魅力的だと思えるようにしたい。」

と皆さんなかなかに熱いです!
しかし活動予算を聞くと各所からサポートがあり比較的恵まれていますが
やはり少なく、各自持ち出しの部分も多いそう。
商業の町問屋町で「アート×ビジネス」の起こる場として、
様々に工夫しながら継続してほしいと切に思いました。


あっという間の3時間、金沢における作家やアートの可能性を考える
よい機会となったのではないでしょうか。
今あるクリエイティブなベースがさらに発展していくためには、
このレポートを読む、アートに興味があるあなたの力が必要かもしれません。
そう、オルタナティブ・スペースは「関わっている人たちが一緒に
考えて実行できる柔軟性がある場所」です。

明日からでも参加可能、何ができるかは自分次第の実験空間。
門戸は開いていますよ。



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金沢建築訪問vol.2 13:20

2011211日(金・祝)に開催された「金沢建築訪問vol.2」に行ってきました。

今回は大樋焼の大樋年雄氏をエスコート役に、
 
釜師宮崎寒雉氏の自宅兼作業場と大樋長左衛門邸/大樋美術館の見学です。

テーマは町家建築と茶道文化。
今でも金沢は茶道が盛んですが、元々は江戸時代初期に
加賀藩5代藩主前田綱紀に京都から招かれた茶人、千宗室・仙叟宗室居士
茶の湯を広めたところからその歴史は始まります。

大樋焼は千仙叟に楽家4代、初代長左衛門が同道した事より始まり
今の十代大樋長左衛門に続いています。一方釜師の宮崎氏は、
千宗室が前田家に出仕していた時代、藩御用釜師として
初代が活躍し現在14代宮崎寒雉が製作を続けています。
千宗室」をキーワードに、実はとても関わりが深い2か所なのです。



参加者の簡単な自己紹介をして、まずは宮崎さんのお宅に伺います。

とても寒い日でしたが晴れていたので、皆で歩いて移動しました。

武蔵、彦三、尾張町界隈は古い素敵な建築物が多く、
エスコート役の大樋年雄さんが子どものころから慣れ親しんだ場所+建築に詳しい
ということもあって、度々立ち止まって話をしながらのツアーとなりました。


宮崎さんの自宅は昭和2年に建てられた町家で、
彦三大火で焼けたものの、土塀と井戸はそのまま残っており
井戸水は今でも釜の仕上げに使用するそう。


通されたお茶室の床の間には釜が並び、中には

初代が作られたものもありました。お話は宮崎家について、
釜の種類、作り方、作るこだわり等について。
スライドや大樋さんとの会話を交えながら分かりやすくお話し頂きました。
いろいろな釜の形もありますが、注文者の細かな希望にも

応えることができると話す宮崎さん。

細部まで遊び心あるアレンジができることは再発見でした。


いまは毎月第4土曜にお茶会をしているそう。

在釜(ざいふ)という看板が玄関に出ているので、
気になる方は行ってみてはいかがでしょうか。


大手町にある「千仙叟宗室居士邸地跡」に立ち寄りながら、
次の大樋長左衛門邸/大樋美術館へ。
北国街道の目印にもなっていた、玄関先の立派な松や
ガラスの塀の話を聞きながら中に入りました。


今回見学した大樋さんのご自宅、実は
20数年前に火事で焼けています。
家を修繕する際、馬置き場と台所だった場所を「大樋ギャラリー」とし、
大樋焼きの敷瓦、漆喰、ガラス塀などを組み合わせて現在のモダンな姿にしたそうです。
「火事の改修は、日本の古いものをうまく利用することを
考えるきっかけになった」と語る大樋さん。


いい頃合いになったので、大樋長左衛門邸にある
お茶室「芳土庵」にて大樋焼きのお茶碗でお抹茶と
お菓子を頂きながら、大樋さんより沢山興味深いお話を伺いました。

大樋焼のルーツ、金沢の茶道文化について(「前田家は文化的秘密兵器を作っていった」)、
「献上」に関わる多くの金沢の職人の話、大樋焼の伝統で江戸時代から変わらないこと/変えられるところ、お茶をする度に学ぶこと、等々。


中でも金沢は茶道文化の職人が揃っている。道具をどう揃えるか、
どう使うかは自分次第だというお話に、今後のヒントがあると感じました。

確かにこの街の中には様々な美意識があります。
お茶、建築、工芸、現代アート等といった「要素」も、
それを楽しむ人、考える人、作る人といった「人」もいます。

クリエイティブツーリズムで今まで取り上げた要素はまだひと握り。
参加者もまだまだ多くはありませんが、少しずつこのクリツーに
関わった人たちが、この街にある魅力をそれぞれに見つけ
愛しんで、一緒に楽しんでゆくことが出来れば、
金沢の文化も、私たちも、幸せになれるのではないでしょうか。


次回の企画については、後日必ず発表致します。
ウェブサイト、ツイッター、メールでの案内になりますので
メール配信希望の方は事務局までご連絡ください。
(今までの参加者の方にはご案内致します)


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オープンスタジオデーvol.2 10:26
  2011年2月5日、6日、クリエイティブツーリズムの企画、オープンスタジオデーの2回目に参加しました。今回は昨年10月に開催された1回目の9作家の倍にあたる約20作家の参加となり、2日間では全て回ることが出来ないほどのボリュームがありました。

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久しぶりの大雪に見舞われた時期でもあり、なかなかアクセスするのがたいへんでしたが、おもむくところ全ての作家さんに暖かく迎え入れていただいたことで、心温まる両日になったことを感謝いたします。


 まず初日最初に向かったのが、今城晶子さんの工房です。ここは、森本インターチェンジにほど近い月浦工房という金工若手作家の制作活動支援を行っている財団法人宗桂会が運営している施設で、現在3名の方がシェアしています。彼女はアンティークの腕時計のパーツを使ったアクセサリーを主に作られている作家で、他にも小物入れや、かわいらしいキャラクターを持ったオブジェ的な作品も作られています。

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まず目に入ったのが金工作家さん特有な工具の数々で、作品の面の表情を出すのに使う金槌の種類の多さです。巧みに使い分けることで、みるみる金属に有機的な表情が生まれていきました。次に見せていただいたのは、時計のパーツ群です。 私がそうですが、メカニカルなモノに興味津々で、ゼンマイ仕掛けの腕時計が目の前で分解されていく様は 今城さんのかわいらしい風貌からは想像できないクラフトマン?ウーマン・シップも相まって 圧巻でした。 時計の心臓部であるテンプ(テンワ)という部分に複数付いてるチラネジの小ささ(1mm以下)に驚き、それらを調整して時間の狂いを調整することを聞いたり、作品の話題から逸れまくってしまいましたが、作家の工房でしか話すことの出来ない内容で、より今城さんの時計を使った作品に対する思いを感じました。


 次に伺ったのが金沢卯辰山工芸工房で、ガラス作家の山口京さん、金工作家の松田明徳さん、陶芸作家の戸出旬彦さん、それぞれにご自身の作品の説明と専門分野の加工工具や作業別の部屋の使用法など、事細かく案内していただいて、数回行ったことのある工房ではありますが、今まで以上に奧深い話を聞けました。

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山口さんには作風の変化に対する思いなども聞け、作家の葛藤している部分はとても興味深かったです。松田さんにはご自慢の?金槌のテクスチャーの作り方や、実演を交えてご自身の作品にどう生かされているかの解説があり、お気に入りの金槌も触らせていただきました。戸出さんにはご自身の作品もさることながら、他の陶芸作家の制作現場での解説もいただけました。

 このような感じで回っていますと、時間が経つのは本当に早いもので、もう夕方になってしまって、初日ラストに伺ったのは、戸出雅彦さんの工房です。九谷の5彩をベースに普段使いの食器からアーティスティックな作品まで、独特な造形やキャラクターと相まって確固たる戸出さんワールドを繰り広げている作家です。

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顔見知りと言うこともあって、結構フランクな感じで迎えていただきましたが、作品のスライドショーを用意していただいており、ご本人の解説付きの贅沢な作品解説を受けました。工房にはガスと電気の大きい焼き釜が2台あり、以前はそこで一般向けの教室も行われて、教室を自宅工房で行うことの葛藤、今後の人に教えるということに対する思い、やり方、なども語っていただきました。ギャラリーなどの人が買い付けに来られた時の話など、普段話さないようなことが聞け、改めて作家・戸出雅彦さんを感じることが出来ました。


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 2日目は、まず任田教英さんの工房に向かいました。彼の作品は四角い細かい単色ドットを組み合わせて、主に色数を極力少なくし、テレビゲームの画面を拡大したような作風で、マスキングテープとアクリルガッシュを駆使して作られていました。今後の展開も含め色々とお話しさせていただきました。 ここは寺尾ユリ子さんのシルクスクリーン工房の一角で、他にもシルクスクリーンを使って作品を制作されている方もいらっしゃいました。若手の作家がシェアして使っているということで、それぞれが刺激し合いとても興味深い環境です。

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 次は陶芸作家の藤原絵里佳さんの自宅兼工房です。ろくろの体験をさせていただけ、これは作業の現場を見せていただく醍醐味の一つでもあります。現在、ウドゥという壺の形をした打楽器を制作にも力を注がれており、そのブランド名が決まったら、打ち出したいといわれてました。名前のアイデアいただけませんか?との問いかけもあり、現在進行中の作品や構想を見て取ることが出来たの事で、作家をより深く理解できたと感じました。

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 水がしみ出ることで描く有機的で幾何学的でもある作品など、時間の変化をアーティスティックに表現する井上大輔さんの自宅兼工房では、間取りが面白く、ゲストルームもあり生活スタイルも感じることが出来、作品同様かっこよかったです。水のしみ出るマル秘の仕組みも、サンプルを使って教えていただいたり、「技術的に壁にぶつかったらどうされます?」などと質問をしても、笑って「電話かけまくります」「それしかないですよね!」などととてもフレンドリーな人柄を知れたことも収穫です。

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 最後に伺ったのは、山本基さんの大野の海沿いのアトリエです。潮風に吹かれるなかで作品が生まれていく様には、圧倒されました。失礼とは思いながら、ファミリーで伺ったのですが、優しく迎えていただきました。私の子供に対しても、塩の特性などを丁寧に教えていただきました。「内緒ね!」と言いつつも次の展示プランの構想モデルの説明していただいて、「ここ悩んでるんだよね〜」などと気さくな人柄で、塩の作品からは想像できない新たな一面を垣間見ることが出来、いっそう次回の展示が見たくなりました。

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 展示場で作品を見るよりも時間が掛かりましたが 、あっという間に過ぎていった2日間でした。作家の日常を垣間見ることが出来、人柄に触れることで、よりいっそう作品の深さを感じることが出来、皆様の今後の活躍が楽しみで仕方ありません。今回の企画を提供していただいた皆様に改めて感謝申し上げます。そして作家の方にこの場を借りてお礼を申し上げたいと申します。貴重な体験をありがとうございました。

 全ての作家さんのスタジオに伺えなかったことが残念で仕方ありません。是非次回は全てのスタジオに伺いたいと思います。宜しくお願いします。


【アトリエ写真】

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長原めぐみアトリエ「niche」

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指江昌克アトリエ

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kapoアトリエ(松本桂子、Caroline Ann Oakley)

【今回参加した作家】
阿部乳坊(金沢美大)、石崎誠和、井上大輔、今城晶子(月浦工房)、
菊谷達史(金沢美大)、指江昌克、谷村祐美(金沢美大)、任田教英、戸出旬彦(卯辰山工芸工房)、戸出雅彦、長原めぐみ、日暮し(お店)、藤原絵里佳、松田明徳(卯辰山工芸工房)、松本桂子、村住知也、山口京(卯辰山工芸工房)、山室淳平、山本基、Caroline Ann Oakley

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金沢アトリエ訪問vol.2 10:30

 1月29日(土)に開催された、「金沢アトリエ訪問vol.2」に参加しました。
今回の訪問先は、漆を使って制作するアーティストの田中信行さんのアトリエと、田中さんが漆を買っている、漆製造の高野うるし店さん。





エスコート役は、美術評論家の福住廉さん。コーディネート役が、金沢21世紀美術館の鷲田めるろさん。集合場所の金沢アートグミで簡単に今日の予定や自己紹介、「クリツーとは」などのお話をして、出発!



てくてく10分ほど歩いて、田中先生のアトリエに到着。田中先生のアトリエは、もともと「WATARI MUSEUM」というスペースでした。入口に、その名残。




入ってすぐの作業スペース。床は大理石です。
構想スケッチや、ポスターが壁に貼ってあります。




一 階奥の広い吹き抜けの部屋。天井には明かり取りの窓があり、明るくてシンとしています。田中先生は「この部屋はル・コルビュジエのロンシャン教会のような 感じがする、一番好きな部屋」とおっしゃっていました。大きな発泡スチロールの塊がゴロゴロしています。まずニクロム線で大まかに形をとり、その後カッ ターなどで細かく形を作ります。その上に麻布と漆を塗り重ねる、乾漆という技法。とても軽いです。




二階は、和室!実はこの建物は、町家をリノベーションしているんです。ベンガラの壁がきれいです。あちこちに田中先生が大きな作品を出して下さっていました。田中先生がコレクションしている漆塗りのお椀もいくつかありました。

田中先生は古い漆の道具も集めていて、漆を採集する道具なども見せて頂きました。田中先生の作品はつるっとなめらかな印象ですが、お椀や古道具は漆が重なった、ごつごつした感じ。実はそういう質感が大好きらしい。




田中先生は、へこんでるものやふくらんでるもの(平らでないもの)を塗っていると満たされるそうです。無心に山登りをするのに近い感覚、とおっしゃっていました。「いつか漆の海をつくりたい」という言葉に、想像が膨らみます。

田中先生のお話は、人がものを作りたくなったり、絵を描きたくなる衝動はどこから来るんだろう?と考えはじめるきっかけになりました。

漆は、乾燥すると黒くなります。来てすぐに田中先生が見本用に塗った一刷毛が、帰る頃には黒くなっていました。「漆黒」ですね

ここからは、田中先生もツアーに同行します。




続いて、高野うるし店へ。創業180年のうるし屋さんです。地下に降りると、むっと漆の匂い。漆って、樹液なんだなあと再認識しました。漆が入ったたくさん の木の桶と、精製のための機械が設置されています。元の漆原料は濃いクリーム色。それを精製し、ブレンドし、色を着けたりして、たくさんの種類の販売用の漆ができあがります。

いつも漆を扱うヘラは、自然と漆塗りになっています。お店の人のヘラの扱いはさすが。チューブに詰める作業も、このヘラだけで行います。きちんと砥石で研ぐそうです。




漆塗りにはとてもたくさんの行程があります。
筆はなんと人毛。コシがあるそうです。細かいところを書く為の猫の毛の筆もあります。漆材料のお店は、現在金沢市に3軒、石川県全体では8軒。需要は落ち込んでいるそうです。

高野うるし店さんを後にして、最後は、ジャズ喫茶「穆然」でほっと一息。寒い日だったので、あったまる!珈琲を飲みながら、参加者、福住さん、田中先生、クリツースタッフみんなで一つのテーブルを囲んで雑談します。この時間が楽しい!




テーブルでは、漆の産業化や需要の減少なども話題に上がりました。漆を「塗料」や「接着剤」として考えると、使い道はたくさんありそうです。産業はもちろん、工芸以外のアート作品の素材としても、もっと使われていいんじゃないかと思いました。




今回参加してみて、「金沢にこんな場所があったとは!こんな人がいたんだ!こんな文化や裏事情があるんだな!」と、まんまとクリツーの楽しみにハマりました。観光地などの表に現れている部分だけじゃなく、そこかしこに息づいている文化の深さや、それを醸成する過程こそが、金沢の街の魅力なんですね。

次回のクリツーイベントは、2/5(Sat)〜2/13(Sun)の、クリツーウィーク!
オープンスタジオ、建築訪問、アートコンシェルジュと盛りだくさんの一週間です。
詳しくはホームページで⇒http://tour.artgummi.com/
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