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クリツーvol.11 16:55
 

2012年、825(土)、26()2日にわたって開催された、クリツーvol.11に参加してきました。

今回のクリツーは、金沢21世紀美術館の企画展「工芸未来派」展の連動企画である、「工芸未来派サテライト」参加の11ギャラリーを全て巡り尽くすという企画でした。

また、兵庫陶芸美術館のマルテル坂本牧子さんに同行していただき、それぞれの作品や工芸についての解説をして頂きました。

それぞれの会場で行われた、マルテルさんとギャラリーオーナーや作家の方との対話は、参加者の作品に対する理解をとても深いものばかりでした!

ここでは、その様子をレポートしていきたいと思います。


1
日目は快晴、金沢駅に集合してバスに乗り、それぞれのギャラリーに向いました。



1
会場目は、ルンパルンパの「五宝恵理展 あなたとわたし〜魂の宿る場所〜」です。






上) ロウを素材にしたオブジェ。白い壁の空間で、とても目を引きます。

下) ギャラリーオーナーの絹川さん(左)と五宝恵理さん(右)作品への想いをわかりやすくお話して頂きました。

 

作品はロウを素材とした立体作品や、ドローイングが中心でした。


インドや東南アジアの宗教のような鮮やかな色づかいは目を引き、表現された作品はどこかバランスの取れた神話や宗教性のようなものを感じさせます。参加者からは「フリーダ・カーロに似ている」という意見がありました。

作家の五宝さんは、自らの作品について、自らの作品に色んな想いを込めて制作しており、それを古代の占術の道具となぞらえて、以下のようなお話をして下さいました。


「古代の占術の道具は、その時代の人にとっては、現代の実用性を持った工芸作品と変わりなく、生活に必要不可欠なものであったはず。そのような理由で、私の作品は工芸と言える。―また、ロウという素材はその性質から制作するうえで一番自分の表現したいものを表現できる。」

五宝さんの素材に対する考えについてマルテルさんは、素材と作家の表現したいものへの想いが自然に繋がっており、それはとても重要であるということをお話して頂きました。


2
会場目は、ギャラリー点の「梶尾聡美・横山翔平個展」です。



上) 梶尾聡美さんの作品の前で対談する、ギャラリーオーナーの金田さん()とマルテルさん()

下) 横山翔平さんの作品。触れると割れて粉々になりそうなほど、繊細な作品でした。

ギャラリー点は1階と2階の2フロアになっており、1階には梶尾さんの作品、階段と2階には横山さんの作品が展示してありました。また、その間には共作もありました。

梶尾さんの作品は、染色した生地の上に、友禅などの蝋纈染めに用いられるロウのように、樹脂で線を描いた作品で、大小様々なモチーフ(例えばアメーバのような有機的なものから、建物のような直線を用いたものまで)が心地よく溶け合って表現されていました。

横山さんの作品は、吹きガラスの作品でした。とても薄いガラスで、ショボン玉のように今にもはじけて無くなってしまいそうな繊細を感じさせてくれました。

マルテルさんはそれぞれの作品について、

「それぞれの作品ともに素材がとても特徴的で、その素材の魅力というのは写真などでは到底わからないようなものなので、是非よく見て欲しい。―特に(横山さんの用いる)ガラスという素材は、熱い内に息を吹き込んでつくった形がそのまま作品に出るということで、その素材の特徴と造形というものが密接に関わってくる。」

そう言われて作品を見てみることで、素材の持つ魅力に近づけたような気がしました。


3会場目は、Kapoの「山内宗嗣・伊藤幸久展」です。




上) 山内宗嗣さんの作品。元々あった仏像の頭を取って、木の新芽を付けている。

下) 伊藤幸久さんの陶を素材にした作品。後方では伊藤さんとマルテルさんのトーク。

Kapoも先ほどのギャラリー点の会場と同じく、1階と2階の2フロアになっており、1階には山内さんの作品、階段と2階には伊藤さんの作品が展示してありました。

山内さんの作品は陶器の作品と、仏像の作品がありました。仏像の作品は、売られている仏像の頭を大胆にも切ってしまい、そこに木の新芽を取り付けるというという手法で作られていました。新芽が人の顔に見えるということから生まれた発想らしいのですが、我々日本人が古くから持つ自然信仰の本質を感じさせるような面白い作品でした。

伊藤さんの作品は、陶を素材として人体などを表現した作品で、自身が作るロリータをモチーフにした物語の世界を表現していました。リアリティーのある造形と、適度に主張を抑えた白い土を用いた表現は、我々を物語へとすんなりと引き込んでくれました。

 

この会場では、マルテルさんと作家の伊藤さんの対談が行われました。

マルテルさんは、

「土という素材を用いての表現手法は多くあるはずなのに、作家の人で土という素材を応用して用いている人は少ない。伊藤さんのような表現というのはまだまだ可能性がある。」
ということをお話になりました。

それに対して、伊藤さんは、

「土の造形にかかる手間や時間というのが自分には合っていて、重みがあり壊れやすいという特徴は自分の内面とも共通した特徴がある。」

ということを仰っていました。

素材と人の関係というのは自然と作品に表れるような気がしますが、この会場の2人の作家の作品にはどこか温かい関係性を感じました。

4会場目はガレリアポンテの「竹村友里・小田橋昌代・安藤絵美展」です。

写真) コレクター・作家・ギャラリーオーナーのトークの様子。左からガレリアポンテ・オーナーの本山さん、コレクターの宮田さん、作家の竹村友里さん。

この会場では、コレクター・作家・ギャラリーオーナーという違った立場にある3人によるトークセッションが行われました。コレクターの宮田さん、作家の竹村友里さん、ガレリアポンテ・オーナーの本山さんの3人によるもので、面白い角度から作品についてのお話が伺えました。

コレクターである宮田さんのお話は、どのような経緯で作品を買うようになったか、作品を買うときはどのようなところを見るか、1人の作家の作品を買って、いかにしてギャラリーを廻るか、作家が成長していくのを見守る楽しさ、など多岐に渡り、大変興味深かったです。私も参加者の一人として、作品を買ってみたい!!という感想を抱きました。



5会場目は問屋町スタジオの「空白の思索」展です。




上) マルテルさんと対談をする作家の久恵 真由美さん

下) 菊谷 達史さんと共に1つの部屋を作品にしている四井 雄大さん。菊谷さんの絵画作品と四井さんの陶芸作品が部屋のいたるところに展示されています。

この会場では、「空白の思索」というテーマが設定され、8人の作家の作品が展示されていました。

「空白の思索」では、美術の領域で活動する4人の作家各々が、工芸の領域で活動する作家4人を選出し、それぞれを同じ空間で展示するという方法で展示を行なっていました。そのような展示を通して、美術と工芸という枠組みを問い直すことができるのではないかという問題提起があり、とても見ごたえのある展示でした。

展覧会を一通り見て、現代作家にとっては美術と工芸という枠組みはあまり意識されておらず、それぞれの作家の感覚で美術と工芸の両方に影響を受けており、その結果制作された作品が展示されていたという印象がありました。

クリツーvol.112日目に突入です。

2日目はcollabonに集合し、中心街のギャラリーを周りました。

写真は、徒歩での移動が多いので頑張りましょう!!と歩き出している様子です。


 

1日目に続く6会場目は、collabonの「スソアキコ作品展」です。

 




) collabonの外観。ギャラリーあり、雑貨コーナーあり、カフェスペースありという充実した空間です。

) フランス人のマルテルさんの旦那さん。特別に被せてもらいました。フランス人らしいエスプリのきいた感想を聞かせてくれました。

 
collabon
の展示スペースには、天井から雪の結晶をモチーフにしてつくったレースが下がっており、その下に帽子が展示してありました。作家のスソアキコさんは骨の構造などに興味があるということで、帽子の造形は自由でありながらも自然と人の身体に馴染むような印象がありました。

フランス人のマルテルさんの旦那さんも今回のツアーには参加していただき、特別に許可をして頂き、帽子を被って頂きました。

「被るとチクチクしている。おそらくこれは実用性のある帽子というより、立体物としての魅力の方があるんだ。」

という感想を頂きました。それにしても、かなり似合っていますね。


7
会場目は金沢アートグミの「Porcelain Fever 現代作家と今の九谷」です。


写真) 流線型を描いた植物がモチーフとなっている高橋治希さんの作品。水面を漂うような展示のされ方で、どこか涼しげな印象を受けました。

 

この会場では、「Porcelain Fever:現代作家と今の九谷」と題された展示が行われていました。

展示されていた作品の特徴は、技法や絵付けにおいて九谷焼の伝統を継承しつつも、その背後にポップカルチャーなどの現代的な感覚を感じさせる若手作家の作品で、新たな九谷焼の解釈を感じさせるものでした。

ここでは、金沢美術工芸大学の大学院専任教授の森仁史先生に、「九谷焼って?」というテーマでお話頂きました。


九谷焼が19世紀の終わり頃にヨーロッパにおいて、新たな価値で受け入れられ、それに伴って九谷焼はどのように変わったか、そして今日もどのように変わり続けるかという趣旨のお話でした。

レクチャーの後には質疑応答があり、九谷焼がポップカルチャーなどの現代美術に近づく一方で、忘れられつつある茶道具などの伝統工芸としての工芸の価値に関する問題提起が参加者から寄せられ、興味深い議論になりました。時間に限りがあって出来なかったのですが、このような議論について、若い作家の方々の意見も聞けたら面白かったかもしれません。

 

8会場目はas bakuの「glass deco 渡部匡人 ガラス展」です。





上) それぞれの色の棒状にあったガラスを窯で繋げることでつくられた器

下) 大学で鋳金をしていた経験を活かして、鋳型にガラスを入れることで造形し、金箔を上に貼った作品。

as bakuは近江町市場から歩いてすぐのところにあるギャラリーでした。

作家の渡部さんもギャラリーにおられたので、技法や制作するにあたっての想いということを伺いました。

渡部さんはガラスという素材を通して、その素材をどのように活かせるかということにとても興味があるということでした。例えば、建築を装飾するステンドグラスとしてのガラスが用いられることで、光によって変わるガラスの美しい色が表現することができ、それはひとつの理想的なかたちであると仰っていました。

おそらく、独立した作品としての魅力よりも、他の作品の一部として作品が機能することで生まれる作品の魅力に惹かれるということでしょう。技法に関しても同様に、技法を極めるということよりも、その目的に合わせて一番良い技法を用いるという方法を取るということを仰っていました。

様々な作家がいる中でも、素材に対する考え、技法に関する考え、作品がどのように展示され使われるのが理想かという考え、そのそれぞれが違うことが感じられ、面白くお話を伺いました。


9会場目はギャラリーアルトラの「加護園・津坂陽介 2人展」と「岡知代 漆展」です。



)作家の岡知代さんと作品。限られた時間ですが、作品についてお話頂きました。

ギャラリーアルトラは2フロアに分かれており、下のフロアではガラス作家の加護園さんと津坂陽介さんの2人展が行われ、上のフロアでは岡知代さんの漆展が行われていました。 

津坂さんの作品は、レースのような細かい線による文様の入った吹きガラスによる作品で、高い技術と洗練した美的感覚を感じさせるものでした。

加護園さんの作品はガラスの作品でガラスで金箔をサンドして封じ込めており、金箔で表現された植物文様は温かさを感じさせる優しいものでした。

加護さんには実際にギャラリーでお話を伺うことが出来ました。

加護さんは、ガラスという素材について、

「ガラスは母親のようなもので、私はその関係というものを大切にして制作している」

ということを仰っていました。また、

「自ら制作をする上で、素材と自分との関係を意識するようになり、他の作家の作品を見てもその関係というのがわかるようになってきた。」

ということも仰っており、加護さんの抱く素材への想いが強く感じられました。

 

上のフロアでは、漆の作品を展示する岡知代にお話を伺うことが出来ました。

岡さんの作品はパネルのように壁にかけられており、よく見ると黒光りする漆の中に文様が浮かび上がってくるという仕組みになっています。

作品は一見すると、明るい色で文様が描かれている場所と、黒い漆が塗ってある部分に分かれているように見えるのですが、実際は全て同じ要領で文様が広がっているそうです。

つまり、照明が当たっている部分のみ、文様が浮き出しており、照明が当たらない部分は漆の暗い色が文様を被っているということになります。

暗い色で、半透明の漆という素材の特徴をうまく活かした作品で、素材の持つ可能性と、岡さんの見せ方の面白さを感じました。

10会場目はギャラリートネリコの「デザートと器お境界線 Part 色鮮やかな-」です。

 

 

11会場目はCafé & Gallery museeの 薄井歩 陶展「ぱらいそ」です。

 

薄井さんの作品は、とても小さいです。しかし、その中には、化石や海岸に流された貝殻のように多くの時代が重なって出来た進化の歴史や物語があるように感じました。

陶を素材にしており、とても手の込んだ作品である一方で、全く人工的な印象を与えずに、むしろ自然物のような印象を与えるのは、自然をよく観察しそれを作品に落とし込むというという手法を取る作者ゆえのものでしょう。

 

今回のクリツーは2日に渡り、マルテルさんのとても有意義な解説とともに、作家さんやギャラリーの方々と触れ合える良い機会となりました。

おそらく、参加者の方々にとって作品がより身近に感じられる機会になったと思います。

参加していただいた作家の方、ギャラリーの方、マルテルさん、そして参加者の皆様、ありがとうございました。

 (大久保洸哉)

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