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金沢建築訪問 vol.5 12.8 |SAT| 11:02


今回の建築訪問は、お茶室を訪ねるツアー。
ガイドの吉江先生は、数寄屋建築や茶室の設計などがご専門です。
専門家と行く茶室巡り、とても楽しみですね!

はじめに、吉江先生から今日の見所などのお話がありました。
本日伺う二つの茶室は、いずれも有名な茶室の「写し」。
日本には和歌の「本歌取り」のように、
原作に対する尊敬の念を持ちながら引用する文化があり、
それは「オリジナル」に唯一の価値を見いだし「模造」「偽物」を貶める文化とは
一線を画しているそうです。

小雨の降る中での出発。
一軒目は、主計町の一葉さんです。
一葉は昔からのお茶屋さん(芸妓さんと遊ぶ方の)。
現在の当主のお祖父様が、元の茶屋のお隣に建っていた茶室「残月亭写」を
買ったそうです。




お茶室は築およそ150年。その名の通り京都にある表千家の「残月亭」の写しです。
江戸後期に、茶人・金谷三次郎が造ったと言われています。
元の残月亭を写しながらも、見事な欄間をはじめ、壁のしつらえ、木材の選び方などに
当主の好みが表れています。
現在はお茶屋さんのお座敷として使われています。

お菓子とお茶をいただきながら、当主や吉江先生にお話を伺いました。
「部屋に入ったら、まずは雰囲気を楽しみ、味わうことが大切」と吉江先生。
現在の住宅に「座敷」は少なくなっていますが、
座敷とは家の文化の「核」になる場所だというお話に、納得。



お茶室の反対側にある、こちらは築100年のバースペースを見せていただいているうちに
外は雪模様に。

小雪がちらつく中、次の訪問先「谷庄」さんに向かいました。
谷庄さんは全国でも有数のお道具屋さんで、
純和風と大正モダニズムの建築がつながった建物は、登録有形文化財となっています。

お茶室は「寒雲亭写」。本歌は京都、裏千家のお茶室で、宗旦好みと伝えられています。
さすが古美術商、応接間から座敷、お庭にいたるまでも、建材、手入れ、しつらえが素晴らしく
代々の当主の心遣いが伝わります。

茶室も同様、小松城のふすまや貴重な木材など、選び抜かれた材料で造られ、
手入れも行き届いています。
庭の石、苔の様子も美しく、燈籠にはこもが被せられて冬支度となっていました。

床と書院を分散させたつくり、框の下の蹴込板、欄間の櫛形の意匠など、
本歌を写しながら、左右の配置や北陸ならではの待ち合いの深い庇に特色があります。



なにしろ普段はなかなか入れないとあって、ここかしこの素晴らしいしつらえや意匠に皆さん釘づけでした。

今回二つのお茶室を拝見して気付いたのは、
茶室というのは造った人々、関わってきた人々の心遣いを反映し、伝えるものだということ。
本歌のお茶室の由来や意味を受け継ぎながら
新たに自然の材料を選び抜いた当主の目利き、現場の棟梁の工夫や好み、
また代々それを受け継いできた人の手入れが
空間全体の雰囲気を作り上げ、そこにしかない空間を創出していました。


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