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金沢建築訪問vol.1 17:37
 2010年12月11日(土)に開催された
「金沢建築訪問vol.1」に行ってきました。

DM

これは、著名な建築関係者をエスコート役に迎え、
金沢の近代建築や町家・茶室を訪問し、普段見られない内部まで見学する企画です。

今回は建築史・建築批評家の五十嵐太郎氏をエスコート役に、
北國銀行武蔵ヶ辻支店/中島商店(村野藤吾設計)と中村卓夫家およびアトリエ(内藤廣設計)を見学してきました。


金沢アートグミ内に集合し、簡単な自己紹介の後、
集合場所である金沢アートグミも含む、ここ北國銀行武蔵が辻支店を見学していきます。

artgummi

北國銀行武蔵ヶ辻支店は、日本を代表する建築家、村野藤吾氏(1891−1984)の現存する数少ない初期の作品であり、昭和7年に北國銀行の前身である加能合同銀行の本店として建築され、昭和18年の3行合併による北國銀行の設立時から昭和33年までの間、本店として利用していた建物です。武蔵ヶ辻第四地区市街地再開発事業に伴い、全面改装を行い、2009年4月13日(月)に移転オープンしました。


銀行として利用されているので、私も含め地元の人にとっては見慣れた建物ではあると思いますが、
建物の歴史やデザインポイントを聞きながら見てみると、今まで気づかなかった建物の魅力に気づかされることも多く、大変興味深かったです。

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建物のデザインには、当時の建築主が藩政期から北前船問屋を営む加賀の資産家だったために
船の形や波の形が建物のデザインの随所に取り入れられているそうです。
建物の正面から見える印象的なアーチ型の窓は船の形が元だったんですね。
その他、暖房機の通気口の蓋の細かな模様や窓の格子が波形であったり、建物のいろいろな場所に建築家のこだわりが見えて、
建物を見学しながらちょっとした宝探しの気分が味わえました。


次の建物に移動する間に天候が悪くなってしまい、雨をなるべく避けるため近江町のアーケードを通り移動開始。
アーケードは人通りが多いため、集団移動は一苦労。こんな時クリツーの旗が目印として大変役に立ちます。
あってよかったクリツー旗。みなさんもご参加の際は迷子にお気をつけて。

傘が足りないトラブルなどもありましたが、なんとか次の目的地中島商店へ。

nakasima

中島商店の三代目当主が加能合同銀行(現 北國銀行武蔵ヶ辻支店)の計画図面を目にして惚れ込んだ村野藤吾に依頼し、1932年の4月と7月に相次いで竣工。双方とも茶色のレンガタイルの外装ですが、前者は左右対称、後者は大きくシンメトリーを崩し隣りの町家と背後の蔵を繋ぐ構成。中島商店の内装は村野の初期作品の中で最もよく保存され、現在も大切に使用されています。

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大まかな建物の説明を聞いたあと、建物内の見学へ。
1階は事務所や小さな応接室などがあり、応接室は小さいながらも天井が高く作られ、圧迫感なく過ごせるようになっています。


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そのまま靴を脱ぎ、2階の応接室へ。2部屋ある応接室はどちらも廊下に面した壁が模様ガラスになっていて中は見えませんが採光性が高く明るい室内。窓の周りにあしらわれた幾何学模様や、暖房器具などが部屋の雰囲気を壊さないように壁に埋め込まれたようなデザインなど、村野氏のこだわりが光る素敵な空間でした。また村野氏は建築物だけでなく、家具のデザインもされており、テーブルなどのモダンなデザインにも参加者のみなさん興味津々の様子でした。

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応接室のあとは建物のバックヤードを見学。
吹き抜けの階段から見える、格子状のアーチ型の大きなガラス窓は部分ごとに薄く紫の色がついており、
そこから注がれる光が打ちっ放しのコンクリートの空間とあいまって、神秘的な印象を与えます。
またこのデザインは地下室の天井隅付近にも施されており、表にまわると建物前の地面にある、デザインタイルのような部分がそれとわかりました。
細かなところにデザインの演出センスが光っていて心憎いです。


次は尾張町にある中村卓夫邸及びアトリエ(内藤廣設計)へ。

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ここは浅野川と藩政期からの商業地尾張町の間の閑静な住宅街に建てられた1996年竣工の住宅兼アトリエ。復元保存したベンガラ漆喰のホールのような座敷と庭の五葉松の古木がこの建築群の中心です。それを挟んで両脇を固める3階建てのRC・鉄骨混構造の建物が金沢の古い町並みに溶け込みながら現代的な構成を見せています。

まずは中心のお座敷から見学。

入り口に入るとまず目に入るのは、広々とした空間に置かれた、中村卓夫氏のお兄さん、中村錦平氏の作品達。
モダンで斬新な作品群がベンガラ色の漆喰と絶妙なコントラストを作り、この空間をより際だたせていました。
そのまま続いている座敷にあがると一面のガラス戸の向こうから立派な五葉松が見えて、
部屋全体が額縁となり、一つの絵画作品を見ているようでした。

座敷の中では、中村卓夫氏と五十嵐太郎氏のかけあいで施工までの経緯やデザインの特徴などを伺います。

革新的なデザインの建築物にしたいという思いと、自分の作る作品と伝統的な元の家との兼ね合いから、建築家を選ぶときは難航したそうです。

様々な有名建築家にオファーを出したそうですが、どの建築家も始めに更地にする案ばかり出してくる中、
唯一古いモノはあえて残した上で新しいデザインを提案してきたのが内藤廣氏だったそう。

自身が本当に納得する家を建てるには、やはりふさわしい建築家との出会いが大事なのだなと思いました。



お座敷内は、襖戸の取手部分が陶器で作られていて、白鷺だったり、内側は「福」で外側は「鬼」という文字があしらってあったりと、
和でありつつも遊び心のあるデザインになっていました。

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次に座敷を囲むように建っている、RC・鉄骨混構造の建物を見学。


さきほどまでの和の空間とは違い、一挙に現代的でシンプルな空間になります。

1階はギャラリースペースになっていて卓夫氏の作品が整然とした空間に贅沢に展示されています。
伝統的でありつつも斬新な卓夫氏の作品が、この無機的な空間と絶妙な融合を見せていて、その違和感のなさに驚かされます。

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2階はダイニングになっています。
3階まで吹き抜けた空間は開放感があって、実際の間取りよりも広く感じられます。
大きな窓を覆う引き戸は、奉書紙を墨で染めたもだそうで、
染めた時にできる色むらが、外光をより柔らかな濃淡で、
繊細に美しく見せてくれるところが気に入っているそうです。

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3階はギャラリー兼、ちょっとした休憩スペース。
中心に置かれた低いテーブルを囲むように、氏の作品が置かれています。
卓夫氏の作品と、奥様の煎れてくださったおいしいお茶とともに、
今度はこちらの現代的な建築物についてお伺いします。

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今では作品と空間が絶妙に響きあうこの空間ですが、
作品が家に馴染んできたのは住み始めて5.6年たったころからだそうです。
「根拠のない空間を与えられると、始めは歯ブラシをどこにおくかもわからない」とは氏の名言。(笑)
すべてが無機的な空間であるため、それぞれの部屋に用途をふりわけるのも一苦労だったようです。
しかし長く住んでいると自然と定位置ができてくるそうで、
ダイニングやギャラリーなど今では当たり前のようにその場所に落ち着いています。

そして暮らしが馴染んだ頃には、
その空間の持つ緊張感が逆に刺激となって卓夫氏の新たな作品を生み出す土台に。

人それぞれの家に求めるものがあるものがありますが、
この家は卓夫氏が求める家観でできているそう。
自分にはこの適度な緊張感が必要だったと氏はおっしゃっていました。


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最後に地下にある卓夫氏の作業場を見学して、その場を後にすることに。

優れた建築からまた新たなすぐれた陶芸作品が生まれる。
建築家と施主の理想的な形をみせてもらったような気がして、
とても充実した時間でした。


最後に簡単な座談会を兼ねて主計町にある町屋「土家」へ、


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鮮やかなうぐいす色の壁に彩られた内部は伝統的なお茶家さんの雰囲気で落ち着きます。
家主おすすめのトイレの内戸にある波千鳥の模様を螺鈿や胡粉で彩った装飾は
伝統的でありながら若い女の子にも受けそうなかわいらしさを醸し出していたり、
コンパクトでありながらもいろいろ楽しめる空間になっています。

この建物は、浅野川の反乱で床上浸水して空き屋となっていたお茶家をリノベーションしたもので、
どのような風に使うかはまだ検討中だそうです。
今後の活用に期待大ですね。

おいしいお茶とお菓子をいただいてほっこり。
少しの歓談のあと解散の途につきました。



今回の建築訪問は外国人のお客様も3名ほどご参加頂き、なかなかインターナショナル。
また、スタッフ含め参加者の中にも建築関係者やアート関係者、記者さん、学生さんや、学校の先生、金沢をもっと知りたいといった動機の方、様々な方が集まり、普段なかなか出会えないような方と交流する機会もあったのではないでしょうか。


次回の企画は1月下旬のアトリエ訪問です。
詳細はまた後日発表になりますが、前回以上にパワーアップした内容でお届けする予定です。
お楽しみに!

| - | comments(2) | trackbacks(0) | posted by cretou - -
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Comment








金沢の町家などに興味を持っていましたが、新たに北国銀行の村野藤吾先生の設計もひきつけられました。すばらし企画、ありがとうございます。
posted by Noma Toshitaka | 2011/01/25 3:29 PM |
管理者の承認待ちコメントです。
posted by - | 2011/07/15 5:30 PM |
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